12月8日の「多摩レイクサイドスポーツサイドA」でアイススレッジホッケーを取り上げることが正式に決定!以前から番組やブログでも少しづつ紹介してきましたが、ウインタースポーツのシーズン開幕にあわせて、今回はいよいよ「スポーツ・インサイド」でも取り上げることとなりました。このアイススレッジホッケーというスポーツですが、まだ出来て間もないため、知らない方も大勢いらっしゃるかと思います。私自身、一度大会を見させて頂きましたが、まだまだわからないことだらけです。そこで今回は実際にこのスポーツを体験し、アイススレッジホッケーの楽しさ、難しさを肌で感じてこようと、11月5日(土)、アイススレッジホッケーチーム「
東京アイスバーンズ」の練習に急遽参加させて頂きました。
東京アイスバーンズは今年2月の「ジャパンパラリンピック」、9月に行われた「アイススレッジホッケー東京大会2005」でいずれも優勝。来年のトリノパラリンピックにも何名か選手を派遣している強豪チームです。一方の私はアイスホッケーどころかスケートすら中1以来やっていない有様。朝8時という早い時間、若干(いや、だいぶ)の不安を抱えつつ練習が行われる東大和スケートセンターに向かいました。
スケートセンターに着くと、早速「これつけて」とアイススレッジホッケーの用具一式を渡されました。なかなかの大荷物です。このスポーツの醍醐味は激しいあたりにありますので、防具を体のあらゆる箇所につける必要があります。まずヘルメット。そして胸、肩、背中を守るプロテクター。さらに肘あて、膝あてに、グローブまで。ここまではアイスホッケーとほとんど変わりません。ではどこが違うのかというと、アイススレッジホッケーではスケート靴ではなく、アイススレッジという、スケートの歯が下についたソリのような用具を使います。歯は普通バランスをとりやすいように2本ついていますが、うまい人ほどその歯の間隔が狭くなり、なかにはぴったりくっつけたものを使用している人もいるそうです。このアイススレッジに乗り、2本のスティックで氷をかきながら移動します。スティックの長さは50cm程で、両端にパックを操作するブレードと、氷をかくための細かい歯の並ぶピックがそれぞれついています。お値段はこの一式で15,6万円程だそうです。
用具をつけたら早速練習開始。練習時間が一時間半しか取れないため、ぐずぐずしてはいられません。座った状態で氷の上をすべるため、スケートを始めたときのような転倒に対する恐怖感はほとんどありません。それでも目線がより氷に近いため、スピード感は普通のスケート以上に感じます。これはなかなか気持ちいいですよ。前に進むのも意外と簡単。オ、これは案外やれるんじゃないか。そう思えたのは最初の一分でした。
練習はまず二人一組でのパス交換。止まった状態からならけっこう簡単なんじゃないのと思われるかもしれませんが、そんな甘いものじゃあありません。最初はパスを出すのも止めるのも一苦労。パスを出すときはパックを自分の打ちやすい位置に持ってこなければならないのですが、まずはその調整にてこずりました。座った状態なのでパックに手が届く範囲は立ったときよりも限られてくるうえに、下は氷ですから、パックはなかなかうまい位置で止まってくれません。やっとこさ打てたとしても真正面に飛びません。パックを打つときは手首を使わず、パックを押し出すように打たなければならないのですが、強く打とうとすると、どうしても手首を使ってしまいます。で、手首を使ってしまうと、打った手の側とは反対の方向に、パックが斜めに飛んでいってしまうわけです。今度はパスを受ける側に回り、滑ってきたパックを止めようとしたらブレードと手の間をパックは見事にスルー。少しはなれた位置に飛んできたパックを止めようと手を伸ばしたらバランスを崩して転倒。ブレードにパックがあたったとしてもヘンな方向に弾かれるわで、終始オタオタしっぱなし。氷上のパックをコントロールするのはやんちゃな子供を手なずけるくらい扱い作業なのです。
やっとパス練習に慣れてきたと思ったら今度は壁から壁までダッシュ。これならただ滑るだけだし何とか、と思っていたらいきなり転倒。当然のことですがスピードを出すとアイススレッジでもバランスをとるのが難しくなってきます。ましてや方向転換するときなどは体重を曲がる方向にかけなければならないので、ちょっと気を抜くとスッテンコロリン。そしてそれ以上に厄介なのが止まるとき。2本目のダッシュで下手にスピードの乗った私のスレッジは止まれず壁に激突。スレッジの難しさをまさに体中で痛感しました。
次からはパス、シュート、滑りを組み合わせた練習に入りました。ここまでいくとほとんどついていけません。滑りながらやるとパスもシュートもさらに難しさが増してきます。滑っているとパックが打てないし、パックを打とうとすると滑れない。しかしさすがに選手の皆さんは慣れた様子で、華麗にゴールを決めていきます。それは氷の上を滑っているというよりも、流れていると形容したくなるような動きでした。
練習をはじめて一時間。ここまでで体にはかなりの疲労がたまっています。握力が無くなり、肩から肘にかけて、腕の裏側の筋肉がずっしりと重くなっています。意外に疲れを感じたのが腰と太もも。まだ慣れていないせいか、体のあちこちに変な力がはいっていたようです。ヘルメットを取ると、汗もびっしょりかいています。スケートリンクは当然気温が低いのですが、色々な防具をつけたうえに激しく動き回るので、上半身にはかなり熱さを感じます。運動量は他のスポーツと比べても相当なものでしょう。ラスト30分はミニゲームを行ったのですが、最後はもう体がうまくいうことをきかず、フラフラとただリンクを行ったり来たりするだけになってしまいました。
そんなこんなでこの日はアイススレッジホッケーの難しさを嫌というほど体験することとなりました(この様子は12月8日から放送の「多摩レイクサイドスポーツサイドA」、「スポーツ音風景」のコーナーで)。一日でうまくこなせるような甘いスポーツではありません。しかし四苦八苦したなかで、アイススレッジホッケーの楽しさもいくつか見つけることが出来ました。スレッジのスピード感は他のスポーツではなかなか味わえませんし、パックを打ったときの感触と音は実に爽快です。また今回は体験できませんでしたが、このスポーツの醍醐味の一つは激しい体のぶつかり合いにあります。選手のなかにも、それがこのスポーツの魅力とおっしゃる方がいます。こういったスピード&パワーの強烈な体感が、アイススレッジホッケーに選手をひきつける大きな要因となっているように思えました。
皆さんもぜひ一度、アイススレッジホッケーの難しさ、楽しさを体験してみてください。